CDジャーナル9月号に掲載されていた、松山晋也氏による『キボウ』紹介記事です。
「・・これは凄すぎ、ヤバすぎ。赤いミラーボールの下でヴォーグる女犯坊。
DAFと芥川隆之(チャンバラ・ナレーター)が遂に合体か!?
まったりとしたディスコちっくな肉感エレクトロ・ファンクに痴呆ぎみのボブ・ディランが般若心経
を読んでいるような日本語ラップ、
のような語りが乗っているような、
スベっているような、かと思えば突然、
カレッジ・フォーク系軟弱青年ナメクジ歌謡調で
"希望がある限りズタズタでも生きていこう/希望がある限り明日もまた起きて
みよう〜"と歌われる。サウンドと声、どう考えても合ってないまったく別世界の
テイストなのだが、しかし強引な和合が劇的な化学変化を引き起こし、えも
いわれぬ不気味な快感がウリウリもっともっとと続いていく無間地獄。
シントウは日本人シンガー/ラッパー?のカミ・トクジロウ(爆笑)と
オーストリア人エレクトロ・ミュージシャン、ハンス・プラツグマーのデュオで、
ミュンヘンを拠点に活動しているという。ハンスといえば90年代に
前衛ロック・バンド、HPツィンカーを率いた後、ドイツでエレクトロに転向し、
多くの作品を発表してきた超キレ者。『キボウ』は、彼らがここ2年ほど
にマキシ・シングルなどで発表してきた音源を中心にしたアルバムだ。
ニヒルなのかただのスットコドッコイなのかよくわからない、いやたぶん
その両方なのだろうが、とにかくこれだけ強烈な個性にはそうそう出会えない。
今年のベスト3入りは確実。」
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